福岡県立小倉工業高等学校

福岡県立小倉工業高等学校 進路指導部進路指導主事 神野(かんの) 清徳 先生
聞き手:北九州市産業経済局誘致課主任 篠原 まり香

学校概要

 創立は明治32年、小倉北区篠崎の地に開校し、昭和27年に現在地(小倉北区白萩町)に移転しました。平成11年に輝かしい創立100周年を迎えました。卒業生はこれまでに約20,000余名にのぼり、この間、日本を代表する企業の経営者や文化勲章を受章した先輩等極めて優秀な人材を輩出し、現在も産業界等各界において多くの先輩が活躍しています。
平成19年度から、従来の各科別の募集から「我が校の得意技コース」として、機械系・電気系・化学系の3つの募集に変わりました。機械系(機械科・電子機械科)・電気系(電気科・電子科)はそれぞれ2つの学科に4つのコース、化学系(工業化学科)は1つの学科に2つのコースがあり、1年次にはそれぞれの系の基礎を学習し、2年次からは自分の能力、適性、興味関心や進路希望に応じてコースを選択します。

教育方針

 北九州市の地域社会の特色と本校の伝統を生かし、普通教育および工業専門教育を施し、社会の変化に自ら対応できる知識や技術・実践力を養うと共に、知性と教養・技術を兼ね備えた真に有能な技術者として社会に貢献できる心豊かな人間性の育成に努め、地域から信頼され、未来のスペシャリストをめざす「志高き、はつらつ倉工生」の実現を目指します。校訓は「真理探究」・「質実剛健」・「勤労努力」です。

インタビュー

【学校の特色】

篠原: 小倉工業高校の学科等の特色を教えてください。
神野: 現在、5学科10コースあります。まず、機械系(機械科・電子機械科)と電気系(電気科・電子科)と化学系(工業化学科)の3つで入学の募集を行い、1年生では機械系(機械科・電子機械科)・電気系(電気科・電子科)・化学系(工業化学科)のそれぞれの共通の教科を勉強して、2年生からそれぞれ専門のコースを選択します。
機械系では、機械科の「生産技術」・「自動車工業」と電子機械科の「設計開発」・「機械制御」の4コース。
電気系では、電気科の「電力管理」・「電気制御」と電子科の「ネットワーク技術」・「コンピュータ技術」の4コース。化学系では、工業化学科の「環境分析」・「化学プラント」の2コースです。
篠原: 平成19年度入学生から、生産工程全体を理解できる総合的な力を育てるようなことを始めているとお聞きしましたが?
神野: そうですね。生産工程全体を見通せる技術者の育成が本校の使命といいますか、これからの取り組みですね。工場として効率を出すにはどのようにしたら良いかとか作業分析とか、工場生産学的なものを3年生では勉強するようにしています。それぞれの専門を勉強した後に、工場全体をマネジメントできるような人材育成です。来年3年生になる生徒から実施する予定です。
その背景には、北九州自体の産業も変わってきていて、昔は素材産業だったが、今は加工型産業や付加価値の高い産業になってきています。回りの環境が変わる中で、それに応じて学校も変わらないといけないということですね。
本校のアピールになりますが、歴史や伝統に安住することなく社会情勢に応じて変革をしている学校ということがいえます。
篠原: 課外活動はどのようなものがありますか?
神野: 部活動の入部率は75%以上でとても盛んです。
ものづくりでは、技術や技能を競うコンテストやロボット、エコデンカーを製作するコンテスト等があり放課後に技術磨きに励んでいます。毎年、勝山公園のクリスマスイルミネーションも製作しています。この辺は、工業高校ならではですね。
それともう一つ工業高校ならではでは、資格取得ですね。国家技能士や電気工事士、危険物取扱士など。早朝と放課後に、指導を行い資格取得に力を入れています。生徒の意欲と先生方の資格を取れと言う喚起でやっています。
篠原: そうですね。資格はかなり取得されているようですね。
神野: 課外活動としましては、部活動・ものづくり・資格取得の3つです。

【就職指導について】

篠原: 就職指導の特徴は?
神野: 計画的な進路指導が特徴だと思います。本校の3年間の教育プランの指針があって、1年生でキャリアプランを考えるということで、これをベースに高校生活と将来の生き方を考えさせています。
具体的には、1年生で「進路自己カルテ」というものを書かせて、自分自身を見つめて将来どうしようということを考えさせています。まさに自分自身のカルテですよね。これをベースに2、3年で軌道修正しながら目標を実現していく。そのためには、1年生では工場見学や夏休みに身近な人に対して仕事インタビューというのをさせています。仕事インタビューとは、身近な人に、仕事をするうえでどういうことがきついのかとか、どうしてその仕事についたのかとかを聞かせるようにしています。1年生は、進路の計画を立てるスタートラインなので色々なことを聞くとか仕事を見るとかに重点をおいています。
2年生では、働く人々に学んで勤労観を育成するというテーマで、工場見学とインターンシップを実施しております。インターンシップは夏休みの5日間に全員参加しています。
3年生になったら、進路の選択・決定を行います。決定に関しては、進路セミナーを年3回開催して、就職実現にむけての具体的なテクニック等を勉強しています。決定後は、社会人になるにあたってということで講演会を開催したりしています。
篠原: 社会人の心構えを身につけるためですね。
神野: そうですね。本校の特徴は、3年間の就職プランを立てて計画的に指導していることですね。
篠原: 何をしたいかという漠然としていることが、自己カルテ等を書くことによって、この目標を達成するためには3年間でこういうことをしなくてはいけない等ということが見えてきますよね。
篠原: 就職状況は?
神野: 昨年と今年と求人数が多いこともあり、おかげさまで11月初旬には就職希望者175名全員の内定が決まりました。クラスによっては、1回で全員決定ということもありました。
篠原: やはり、地元で就職したいと思っている生徒のほうが多いですか?
神野: 本校は、他校にくらべて県外就職も多いと思います。県内と県外が半分ずつぐらいです。
篠原: 県外に就職したいということにはどのような理由があるのですか?
神野: 生徒は、目的意識をもって小倉工業にきているんですよね。その目的意識が何かと言うと、日本を代表する会社に就職したい。となると全国規模の会社になってくるわけですよね。地元にいたいというのが半分。地元にこだわらず全国で仕事ができる会社に行きたいが半分ですね。
篠原: 県内に仕事がないから県外へというわけではなく目的意識をもっているわけですね。
神野: そうです。日本を代表する会社に就職したいから小倉工業に来たということです。

【元気で能力の高い生徒を育成】

篠原: 小倉工業の生徒の良いところ、「ここがすごい!!」ところを教えてください。
神野: 上下意識が徹底しています。これは、組織である以上、縦の指導は大切なことだと思っています。
その効果として、挨拶が良いと思います。
篠原: そうですね。何回か訪問させていただいておりますが、必ず元気良く挨拶してくれますね。
神野: 先輩後輩の意識が徹底されている成果だと思っています。それと、体育大会では、3年生が1、2年生を指導しているんです。地域でも有名なんですよ。
あとは、能力の高い生徒が多いと思います。企業に就職してぐんと伸びる子が多いようです。その表れとして技能五輪等で金メダルを受賞している生徒もいます。これも、素質の高い生徒が企業の適切な指導のおかげでぐんと伸びて日本一あるいは世界一になれる人材が小倉工業にはいるということをアピールしたいです。
篠原: 北九州市の良いところは?
神野: 生徒のポテンシャル(学力を含めた能力)が高いと思います。それと、私は市外に住んでいるのですが、市外の住人から見ると北九州市は交通の便が良いなあと思います。それと、図書館が各区にあったり、ウェル戸畑内にあるようなボランティアの施設があったりと公の施設が多くて良いなあと思います。又、食べ物が美味しくて、住んでいる人の情が厚くとても住みやすいところだと思います。
篠原: 最後に何か企業の方へ
神野: お願いですが、企業の経営等が厳しいときでも、ぜひコンスタントに求人を出していただきたい。厳しいときはパタッと止まり、良くなると人を下さいといわれても難しいんですよね。企業側の事情も良く分かりますが、1人でよいんですよね、毎年出してください。ぜひよろしくお願いします。

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