九州職業能力開発大学校(九州ポリテクカレッジ)

九州職業能力開発大学校(九州ポリテクカレッジ)とは

 職業能力開発大学校は、今後のいかなる技術革新にも対応できる教養と基礎学力を持ち、即戦力となる高度な技能を身につけた実践技術者を送り出すことを目的に、全国に10校設立されています。九州職業能力開発大学校は、1987年に短期大学校からスタート、1999年に大学校に昇格しました。全国を視野に入れながら、北部九州における地域・社会ニーズにマッチングした教育訓練を実施し、産業界の発展に今後も寄与していきたいと考えています。

 

独立行政法人雇用・能力開発機構 九州職業能力開発大学校 副校長    小南 健治氏
同                 学務課長   宮本 正夫氏
同                 援助計画課長 上田 輝昭氏

聞き手: 北九州市産業経済局誘致課 西田課長、小園主任

※文中の名称は敬称略とさせていただきます

インタビュー

西田:先ずは、ポリテクカレッジの特徴を教えてください。
小南:一般の大学と違って、ものを作り、現場で通用する技術者を養成することに力を入れている点ですね。教養科目もありますが、履修科目の6割が実習で、学生には年間を通じて空き時間がないくらい勉強させています。
もう一つの特徴は、専門課程と応用課程の二段階に分かれている点です。それぞれ2年間で、専門課程では実践技術者の育成を、応用課程では生産現場のリーダーとなりうる人材の育成を目指しています。
西田:各科の特徴を教えていただけますか。
宮本:本校は、機械系・電子情報系・居住系の3つに分かれています。
先ずは、機械系についてご紹介します。入学して半年後に生産技術と機械制御の2つに分かれます。今年も全国技能五輪大会や若年者ものづくり競技大会にも出場しており、ものづくり競技大会では、ここ数年第一位か二位を取っています。
次に居住系についてご紹介します。他の学校と大きく違うのは、当校の場合実際の家を建ててしまうんですよ。パソコンや紙の上だけでなく、校内で実際の家を建てることでより実践的な経験が出来ます。そんなに大きいわけではありませんが、棟上げもしますよ。
西田:ここで家を建てるんですか?すごいですね!
宮本:次に、電子情報系についてご紹介します。電子情報技術科は来年度から始まりますが、北九州で自動車産業や情報通信関連分野の振興が図られていますよね。これらの産業・分野では組み込み技術が重要になると言われていますが、ハードとソフトを融合させた方がより実践的ですし、地域のニーズに合うと思っています。
西田:良い話ですね。北九州市には自動車だけでなく半導体産業もありますし、北九州市学術研究都市には組み込みソフト系の企業さんが入っていますので、そういった企業への就職もありますね。応用課程では、どういったことを学ぶのでしょうか。
宮本:応用課程はより実践的になります。応用課程に入るにはもう一度入学試験があります。
西田:試験があるんですか?
宮本:ええ、無条件で入れるわけではないんです。学生にとっては辛いかもしれませんが、我々としては専門課程卒業後の進路を選べるようにしているつもりです。2年勉強して就職したい学生には就職指導を、さらに学びたい学生には進学の選択肢も準備しているわけです。ただ、応用課程に行きたくても専門課程での成績次第なので、希望どおりに行かない学生もいます。機械系の場合、専門課程の2つの科が応用課程では1つになります。
卒研について、一般大学の場合、単科の研究室で卒論を書きますが、生産系(機械・電子・情報)の場合は科の枠を超えて3つの科で開発課題に取り組む仕組みになっています。と言いますのも、ものづくりは一つの要素ではできないと考えており、むしろ3つの科が一緒になれば何でも作れるんじゃないかと思っています。学生も自分の専門分野以外のことも学べ、企画・設計から製作・検査までものづくりを一から学べます。
西田:学生さんはやはり応用課程に進みたいとの希望が多いんですか?
宮本:ええ、多いです。ただ、鹿児島県川内市の附属校や県立短大からも入学してきますので、狭き門になっています。北九州・福岡方面への就職を目指す学生は、他の地域から受験することもあります。
西田:学生さんは九州出身の方が多いんですか?
宮本:ほとんどが九州で、福岡県が6-7割、次に鹿児島県が多いですね。
西田:就職はいかがですか?
小南:ここ数年は100%の実績です。アメリカのサブプライムローン問題前までは求人数も多く、500社ほど来ていました。
西田:進路指導はどのようにされていますか?
宮本:教務係が大きな部分を担当していますが、基本的に各担任が細かく対応しています。各科で、展示会視察や企業視察、インターンシップも企画しています。
西田:新たに立地した企業の方からは良い人材を取りたいとのご要望が多いのですが、ご紹介してもよろしいでしょうか?
小南:是非お願いします。
小園:学生さんの企業からの評判はいかがですか?
上田:実践的な人材だと高い評価をいただいています。やはり、当校には工場にある機械とほぼ同じ物を整備し、実習をしていますので、うちの学生は採用後もすぐに使えるという話も聞いています。
小園:企業との共同研究をされているそうですが、学生さんも参加されるのですか?
上田:本校は、地元企業への技術的な相談や試作品製作等の技術支援も行っており、それが共同研究などにつながることもあります。学生の教育に有効な場合、学生も一緒に取り組みます。学生にとってはプレッシャーもあるでしょうが、良い機会だと思います。
また、我々は、社会人向けのセミナーを開催しており、企業の中堅技術者や新規採用者研修にもご活用いただいています。毎年企業のニーズ調査を行い、それを基に研修内容を企画・立案していますが、ご要望があれば個別企業向けのオーダーメイドセミナーも可能です。
(詳細はこちら → http://www.ehdo.go.jp/fukuoka/kpc/use/support/index.html)
西田:これは良いメニューですね、中小企業の皆さんなどには喜ばれるんじゃないでしょうか。最後に、企業さんへのPRなどがございましたらお願いします。
小南:基本的には採用を継続的にお願いしたいです。また、先ほどご紹介したように企業向けのセミナーも行っておりますし、様々な研究も行っておりますので、色々とご相談いただきたいと思っております。
また、平成20年度は、平成21年2月20日(金)と21日(土)にポリテックビジョンを開催します。記念講演、研究・制作成果の発表・展示、ロボット競技会、機械加工技術コンテストのほか、小中学生を対象としたものづくり体験なども行いますので、是非ご参加いただければと思います。
それでは、校内をご案内します。

校内視察

 通常の学校と異なり、一方的に先生の話を聞くというより、工場の現場さながら設備の周りで学生が議論しています。設備や機械もまるで実際の工場のようで、一周すると1時間かかるとか!と、ここで、学生さんへのインタビューの許可をいただきました。

西田:今、何をしているところですか?
福永君:APCという機械の配線をしています。
小園:この学校の良いところを教えてください。
福永君:実際にものが作れるという点です。そうするとさらに理解が深まります。
小園:就職先で希望はありますか?
福永君:4年生なので、既に内定をもらっています。
小園:北九州市の企業?
福永君:はい。鹿児島県の出身ですが、就職は北九州市にしました。
西田、小園:勉強中のところ、お邪魔しました。どうもありがとう!
担任の先生:この工作機械は、市内にあるノートパソコンのダイキャストメーカーとの共同研究なんですよ。将来的に、市販されれば良いのですが。

視察後の感想

西田:いやぁ、施設も充実していますし、学生も実践的なことを勉強されているんですね。もっと色々な企業に知ってもらいたいですね。
小南:我々も、こうした機会を利用して是非PRしたいですね(笑)。

小南様、宮本様、上田様、長時間に渡るインタビューと校内視察、どうもありがとうございました!

九州職業能力開発大学校(九州ポリテクカレッジ)

〒802-0985 福岡県北九州市小倉南区志井1665-1
学務課  電話:093-963-8353  FAX:093-963-0126
援助計画課  電話:093-963-8352  FAX:093-963-8387
http://www.ehdo.go.jp/fukuoka/kpc/info/index.html

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