福岡県立八幡工業高等学校
岡県立八幡工業高等学校 進路指導主事 二村 洋一氏
聞き手: 北九州市産業経済局誘致課 小園主任【文中の敬称は省略させていただきます。】
学校概要
福岡県立八幡工業高等学校は、創立73年の歴史があり、これまで14,000人あまりの卒業生を社会に送り出しています。校訓は健康・真理探究・勤労愛好・責任感で、地域から信頼される学校づくりを進め、校訓の精神を身につけた人間を育成しています。
インタビュー
小園: 八幡工業高校の特徴を教えてください。
二村: 本校では、機械系・電気系・土木系で募集し、1年生は各系の基礎基本の学習を行い、2年生からは自分の興味・関心のある「得意技コース」に進み、より専門性の高い勉強をします。
機械系は機械工作・機械制御・材料加工・応用機械の4コース、電気系は電力管理・電子制御通信の2コース、土木系が設計施工・施工実務の2コースとなっています。
特徴的なコースの一つは材料加工コースです。他校にはないコースで、素材産業が盛んな地元に密着した学校ならではだと思います。即戦力人材を育成するのがねらいです。
市内には小倉・戸畑・八幡と3つの工業高校がありますが、八幡の役割は、より即戦力となる技能系人材の育成を目指していることです。
小園: 技能系人材ですか?
二村: ものづくりの現場には、技術職だけでなく技能職も必要です。技能職は、現場でのものづくりに必要な基礎が必要とされるため、本校では基礎をしっかり学ばせます。技能の基礎を学んだ上で、企業では設計等の技術職の仕事も手がけられるような人材になってほしいと思っています。つまり、技能職と技術職の中間的な人材を目指しているんです。頭で考えるだけでは物は作れません。やはり、実際に色々な作業をしっかり学ばせないとだめです。
このため、技能士の資格取得にも力を入れています。合格率も結構高いと思いますよ。
小園: その他の特徴はありますか?
二村: やはり、現場に入るので、「元気良く」ですよ。元気良さは他校に負けていませんよ。他にはコミュニケーション能力でしょうか。
小園: インターンシップは行っていますか?
二村: 当校がインターンシップを始めたのは15-16年前になります。当時は、企業現場実習と呼んでいましたが、全国でも先駆けだったのではないでしょうか。現在、2年生全員が、5日間地元企業にお世話になっています。生徒にとっては就職先を意識する良い機会ですし、企業から就職の際に是非来て欲しいと仰っていただくこともあります。
小園: 昨年秋から経済状況が厳しくなりましたが、就職についてはいかがでしょうか。
二村: 昨年9月までは本当に良かったですが、今年は厳しいです。昨年の本校の就職希望者は9割で今年も変わらないと思いますので、心配しています。
小園: 地元への就職が多いのでしょうか?
二村: 地元志向は強いですね。7割程が地元に就職します。
小園: 新たな立地企業とのお付き合いはいかがですか?
二村: 新規の企業の場合全く実績がないので、レベルがわからず、正直不安です。就職は、生徒の一生を決める問題ですし、何社も受けられるわけではないですから。
ただ、生徒の中にはチャレンジ精神溢れる生徒もいて、新たに立地した企業で、ゼロから頑張りたいとの意欲を持っています。立上げから自分が加わることに魅力を感じるようです。
本校にお越しいただいた企業もありますが、まだ存じ上げない所も結構あるかもしれませんね。
小園: コミュニケーションが必要ですね?
二村: 大事だと思います。就職先を選ぶ際は、ご両親や先輩の意見の影響力が大きいです。どんな企業なのか、どのような物を作っているのかわからないと、親が勧める知名度の高い企業や先輩が多く就職している企業に行ってしまうものです。立地企業の情報を積極的に提供いただけると、我々としてもどんな生徒が合っているか対応しやすいですね
また、中途採用者についても紹介可能です。卒業生が就職先について相談に来ることも結構ありますので、こちらからも気軽に相談できる企業があればと思います。
小園: クラブ活動は盛んですか?工業高校ならではの活動等あればご紹介お願いします。
二村: クラブ活動は盛んですよ。工業高校ならではのクラブは、旋盤部や工作部、電子工作部、また同好会で測量部があります。福岡県のものづくりコンテストに向けた活動もしています。
小園: ちなみに、成績は?
二村: 測量部は、指導する先生及び生徒の一所懸命な努力で、福岡県大会で優勝し、九州大会に行きました。
小園: 地域社会との連携はいかがですか?
二村: 介護施設でのボランティア活動や市民センターでの餅つき等積極的に参加していますよ。他にも、小学生向けにペットボトルロケットの製作等を行うものづくり教室を開催していますし、近隣住民向けにも洞南健児教室をやっています。
地元に住み、地元に就職し、地域社会とも触れ合う等、本当に地域に密着していますよ。
小園: 最後に、企業の皆様へ一言お願いします。
二村: やはり、我々、立地企業のことを良く知らないんですよ。親御さん含めてもっと知ってもらう機会があればと思います。どんな企業なのか、どんな生徒が欲しいのか、企業の皆さんはどんどん積極的に売り込んでいただきたいですね。一人でも生徒が就職すると、その後は結構続くと思いますよ。
小園: 現在誘致課ではメールマガジンを配信しています。今回のインタビュー記事も掲載されますが、立地企業のインタビューも行っていますので、是非ご覧下さい。
ただ、誘致課でも、学校の先生と企業の採用担当者の交流できる場を考えていきたいですね。
二村: 先ずは、気軽に本校までお越しいただき、情報交換から始めましょう。インターンシップでの受入等もご検討いただくと助かります。
小園: 本日はどうもありがとうございました。