株式会社ブリヂストン北九州工場
株式会社ブリヂストンは、日本を代表するタイヤメーカーで、同じグループ企業では多くの方に親しまれているゴルフなどのスポーツ用品、自転車など幅広く事業展開しています。
海外にも多くの製造拠点を持つなか、今年国内タイヤ工場として33年ぶりに北九州工場が操業を開始しました。今回はその北九州工場立上げの立役者である関工場長、寺島部長にお話を伺いました。
株式会社ブリヂストン北九州工場 工場長 関 由一氏
株式会社ブリヂストン北九州工場 部長 寺島 俊介氏
【聞き手】 北九州市産業経済局産業誘致部誘致課 片山 健太郎
※文中の名称は敬称略とさせていただきます。
【33年ぶりの国内工場建設!】
片山: 今年8月に開所式を終え、北九州工場が本格的に稼動を始めましたが、まずは工場の概要などを教えてください。
関: 生産品目としては、本事務所前に飾ってあるような建設・鉱山車両用ラジアルタイヤの専門工場で、我々はORRと呼んでいるのですが、その中でも特に大きなものを作っています。なかには直径4m以上、重量はタイヤ1本で4tonを超える世界最大のものなども含まれています。
近年の金属、鉱山需要は非常に盛んで、このタイヤだけは堅調に需要が伸びています。
もう国内の建設工場はないかと思っていたのですが、北九州工場が国内タイヤ工場として33年ぶりとなる新工場となりました。
片山: 工場の特徴として、様々な面で環境に配慮した工夫があるそうですが?
関: そうですね。色々ありますが、まずこの事務所の屋上には太陽光パネルを設置しています。また、太陽光を積極的に取り入れる建屋構造をとっており、晴れた日の昼間であれば工場内の照明を消灯しても充分作業ができるようになっています。
環境負荷低減という面では、排水・大気関係などに環境技術を投入しています。ここは海が近いということもあり、特に排水面には十分気を付けており、来年には工場排水をリサイクルするシステムを導入する計画です。
片山: まさに環境モデル都市である北九州市にふさわしい工場ですね。続いては、北九州市に立地していただいた理由を教えていただけますか。
関: 実は、ORRは作るのが非常に難しいんですよ。特に超大型タイヤは国内では全然使われていないので、本来は海外で作るのが効率的なのでしょうが、海外への技術移転が非常に難しい。そこで今技術を持っている下関工場から近い場所を選んだ、これが最大の理由です。
また、ORRは陸上輸送が難しいので、近隣に港がある場所を探しました。他にも北九州市からの積極的な誘致、インセンティブ、インフラ関係こうしたものを総合的に判断して決定しました。ブリヂストンは福岡県が創業の地なので、ひょっとしたらそういった理由もあったかもしれません。
片山: 若松をはじめ多くの北九州市民を採用していただいと思いますが、北九州市の人材について、何か感じることなどはないですか?
寺島: ブリヂストンは国内に色々な工場がありますが、総じて言えることは九州の人間は非常に高い能力を発揮してくれているということです。特に、福岡は、単に創業の地というだけでなく、福岡県人のまじめさや一生懸命さというイメージが、トップの頭の中にあったのではないかと思います。
片山: やはり官営八幡製鉄所から始まったものづくりのDNAがありますから、そういったものづくりに対する姿勢があるのかもしれません。
寺島: そうですね。ものづくりに対して正面から真摯に取り組むという姿勢は感じますね。
【趣味は自転車です!】
片山: 続いて、工場長の個人的な話をお聞かせください。工場長は北九州に来られる前はどちらにいらっしゃったんですか?
関: 小平の技術センターにいました。まぁあちこち行っています。その前は中国のプロジェクトをやっていました。
片山: 北九州市に来られて、どういった印象を持たれましたか?
関: みなさん言われることだと思うのですが、物価が安い、魚がうまい。またこの若松という街は非常に住みやすい所だと思います。海あり山あり自然がいっぱいで。
片山: ちなみ工場長のご趣味は?
関: 自転車です。
寺島: これからメインのストーリーが始まります(笑)。
関: この間のサイクルツアー北九州、去年に引き続き参加させてもらいました。
片山: 今ハマっている方が多いですよね!ちなみにどのような自転車に乗ってるんですか?
関: ブリヂストン製のスポーツ用自転車です。
寺島: 工場長が好きなもんだから、この工場が出来てから最初に自転車部ができて、月に1回ぐらいみんなで色んなところに行っています。
関: そうそう、そんな時よく若戸渡船を使うけど、自転車の利用料金を含めると200円になるので、もう少し利用しやすい料金にしていただけると助かるんですが(笑)。
片山: 確かに。自転車で利用すると倍になってしまいますね。
関: 橋の下に渡り廊下みたいなものをぶら下げるとか。是非、環境にやさしい自転車に、今後やさしくしていただければと思います(笑)。
【地域社会の一員として】
片山: 御社は「地域社会の一員として」という考えの下で積極的に地域貢献活動を行われていますが、ここ北九州工場ではどのような活動をされているのですか?
寺島: 我々もまだ工場を立ち上げたばかりで十分な活動は出来ていないのですが、緑の回廊をつくる植樹会やごみゼロの日の海岸清掃など、こうした活動については工場の仲間を募って参加しています。今年から、コスモス街道に場所をお借りして、コスモスの育成にも参加させていただきました。
若松のお祭りに参加したいなとも思っているのですが、五平太ばやしはちょっと難しそうですね。
片山: 実は、私は市職員で構成している五平太ばやしの愛好会に所属していまして、地域の敬老行事や若松のみなと祭りなどにも参加しています。そういったことであれば喜んで、演技指導等させていただきますので、お気軽にお声かけください。地域のみなさんもブリヂストンさんが祭りに参加してくれたら、喜ばれると思います。
また地域貢献活動の一環として、今月若松で開催されるチャリティーコンサートの件についても教えてください。
寺島: ブリヂストンのブラスバンドは歴史が古く、1955年に結成され、ブリヂストンの文化を伝えたい、またその中で安らぎを与えたいという思いでやってきました。今迄に全日本吹奏楽コンクールで通算27回の金賞を受賞するなど、その演奏技術は非常に高いものがあります。この楽団は久留米工場と鳥栖工場の従業員で構成されていますが、ブリヂストン全体の文化にしていきたいということから、全国の工場のある地域で演奏会を開催しています。入場料は、中学生・高校生がお小遣いで来られるように500円としており、その収益金については、地域の社会活動を行っている団体等に寄付させていただいています。
今回、北九州工場も開所式を終えて本格的に定着を目指していく中で、是非皆さんにブリヂストンを理解していただきたいという思いから若松市民会館で開催させていただくこととなりました。よくよく調べてみると、団員に北九州市出身者も多く、団員自身非常に楽しみにしています。
今年は北九州市で第1回目の開催となりますが、来年以降も毎年定期的に開催出来るようにがんばりたいと思っています。
片山: 他の工場では、チケットの入手が困難なくらい人気があるんですよね。北九州にも定着すればうれしく思います。他にもこれから実施予定の活動はございますか?
関: まだ一般の方の工場見学を受け入れてないのですが、現在見学通路等を整備していますので、来年夏くらいから実施したいと思っています。このタイヤは一般の方がなかなか目にする機会が無いと思いますし、地元の小学生があんなタイヤ見たらびっくりするんじゃないかな?インパクトあるから。
片山: 市民への工場見学についても、ご協力お願いします。本日は、お忙しいところありがとうございました。
株式会社ブリヂストン北九州工場
北九州市若松区響町2-2-2
http://www.bridgestone.co.jp/