自然災害が少なくアジアにも近い地の利が北九州市進出のポイント

ステラケミファ株式会社・ブルーエキスプレス株式会社

大阪に本社を置き、創業100年以上の歴史を持つステラケミファ株式会社。無機フッ素化合物の総合メーカーで、半導体用高純度フッ化水素酸の国内シェア70%(同社推定)を誇ります。北九州市八幡西区に北九州工場を開設したのは2014年のことです。併せて、同社の輸送部門を担うグループ企業のブルーエキスプレス株式会社も北九州営業所を構え、共に順調に事業を拡大しています。
ステラケミファ株式会社北九州工場長の佐藤丈太郎様とブルーエキスプレス株式会社北九州営業所所長の中瀬健二様に、北九州市に進出を決めたポイントやBCP拠点としての魅力などについて伺いました。

(以下、発言者所属社名の「ス」はステラケミファ株式会社、「ブ」はブルーエキスプレス株式会社。)

キャパシティアップとBCPへの取り組みで北九州市に進出

まず、御社の事業内容について教えていただけますか?

ス・佐藤:あまり聞きなれないと思いますが、フッ化水素酸というものを原料にさまざまなフッ化物を製造・販売しています。フッ化物は、身近なものではフッ素入り歯磨剤や鍋・フライパンのフッ素加工、リチウムイオン二次電池などの原料に用いられています。メインとなるのは半導体液晶用の超高純度フッ化水素酸と超高純度バッファードフッ酸で、北九州工場で生産しているのも、これらの製品です。
弊社グループは2007年からメディカル事業にも力を入れています。BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)と呼ばれるガン治療法の薬剤に用いられる同位体濃縮ホウ素(ボロン10)の量産技術を持つのは、日本で弊社だけです。
ブ・中瀬:私共はステラケミファの輸送部門で、危険品や高圧ガスなど特殊なものを扱った輸送をメインにしています。

北九州市に進出した経緯を教えてください。

ス・佐藤:北九州市に進出を決めた理由は二つあります。大阪の工場がずっとフルキャパシティの状況であったため、キャパシティアップが一つ。もう一つはBCP(事業継続計画)です。東日本大震災もありましたし、東南海地震の発生の可能性についても言われています。そのため、自然災害の少ない北九州市に新たな拠点を置くことにしました。
ブ・中瀬:弊社はステラケミファの輸送部門を担当していますので、北九州市に工場ができるということで、こちらの輸送を管理するために北九州営業所を開設しました。

国内外への物流面における利便性の高さが大きな魅力

北九州市への進出でメリットに感じた点は何でしょうか?

ス・佐藤:やはり港ですね。弊社は原料を主に中国から輸入していますし、輸出先は台湾、韓国になります。港が近いと輸出入に非常に有利ですし、九州のお客様に対してもタイムリーに製品を供給できます。それが一番大きなメリットですね。
北九州市様には誘致のときからお世話になっています。市の助成金も活用させていただきました。また、北九州工場は三菱ケミカル株式会社様の土地をお借りしていますので、各種インフラを活用させていただくことにより、初期投資を抑えることができました。
ブ・中瀬:弊社は、ステラケミファが北九州工場で生成した半導体液晶用の高純度フッ化水素酸を台湾や韓国へ輸出するため、ISOタンクコンテナで港まで輸送する業務にも携わっています。北九州市には太刀浦コンテナターミナルとひびきコンテナターミナルの二つがありますので、それは一番のメリットだと思います。
国内輸送についても、弊社の本社は大阪にあって、そこからステラケミファの製品を全国に輸送しています。それが北九州市にも拠点を構えることによって、ここから九州地区や中国地区へ輸送することになりました。そのため、輸送乗務員の労務管理の面でも労働時間等をかなり削減できたというメリットもあります。

ステラケミファ様は2018年度に入って、北九州工場に大規模な設備投資を実施されましたが、その経緯は?

ス・佐藤:北九州工場の生産能力は公称2万トン/年ですが、おかげさまでそのキャパがほぼいっぱいになってきました。そこで、さらなる需要に応えるため、設備の増設を行い、生産能力を1.5倍の3万トン/年に上げます。増設に際しても、北九州市様の助成金を活用させていただく予定です。

物価が安く、利便性にも優れた暮らしやすいまち

北九州工場、北九州営業所ではどんな方たちが働いていますか?

ス・佐藤:大阪から私を含めて15名、現地採用が5名。加えて、2017年に2名、2018年に3名、北九州工場で新卒を採用しています。派遣社員を入れて、現在総勢26名です。
ブ・中瀬:私は2018年4月、こちらの営業所に着任しましたが、現在従業員は13名で、私以外の12名は現地採用です。乗務員の平均年齢は39歳と比較的若く、今後も20代、30代を採用していきたいと考えています。
ス・佐藤:うちも若いですよ。平均年齢は30歳を切っています。2019年4月には新卒(高卒)が4名入社する予定です。

「暮らしやすさ」という面で、北九州市はいかがでしょう?

ス・佐藤:私が出張で北九州市に来ていた2012年ごろでしょうか。小倉や黒崎に他府県の警察官がたくさん入っておられて、 “修羅の国”じゃないですけど、「すごいとこやなぁ」と思いました(笑)。でも、今は全くそんなことはないし、実際に住んでみると危ないことなんて一つもありません。食べ物はおいしいし、安いし。本当に暮らしやすいまちです。
ブ・中瀬:北九州市は物価が安いし、住宅も大都市の中では安い方だと思います。今、私はJR黒崎駅の近所に住んでいますが、高速道路もバイパスも近くにあって、通勤の面でも利便性は大きいですね。

BCP拠点として注目される北九州市でさらなる飛躍を

北九州市のポテンシャルについては、どのように感じていらっしゃいますか?

ス・佐藤:北九州市は九州やアジアの玄関口で、空港があり、港があり、高速道路も西は九州自動車道、東は東九州自動車道があって、立地が素晴らしい。あとは、天災が非常に少ない地域です。今日、BCPを考えている企業は少なくないはずです。そういう意味でも、日本で今何かしようと思ったら、真っ先に北九州市というところは候補地に挙がると思うんです。これから恐らく、大きな企業様も北九州市に来てくれるのではないでしょうか。私どももそれを期待しています。
ブ・中瀬:この周りを見ても、学研都市の集積や、日本でも最大規模となるエコタウン事業など、他市とは違う取り組みを積極的にされている。そこは魅力に感じます。

最後に今後の目標や展望をお聞かせください。

ス・佐藤:今、北九州工場の増設工事を進めているところです。2018年度と2019年度で、生産能力を1.5倍の3万トン/年にする予定ですので、まずはそこをしっかり完成させたいと考えています。
ブ・中瀬:それに併せて、当然弊社も車両の増車や人員の確保、車庫の増設を進めています。今後も安全輸送でステラケミファの製品を安定供給できる体制を構築していきたいと思います。

<プロフィール>
ステラケミファ株式会社 佐藤 丈太郎(さとう・じょうたろう)
宮崎県宮崎市出身。
入社直後から現場一筋。半導体液晶関連で使用される超高純度薬液の製造に携わってきました。大阪の工場や海外の工場も経験し現在に至る。

 

ブルーエキスプレス株式会社 中瀬 健二(なかせ・けんじ)
大阪府泉大津市出身。
乗務職として入社後、運行管理に携わり毒劇物、危険物、高圧ガスなど特殊な輸送に携わってきました。大阪、神戸営業所の所長を経験し現在に至る。

<会社概要>
ステラケミファ株式会社 (東証第一部上場)
本  社:大阪府大阪市中央区伏見町四丁目1番1号
明治安田生命大阪御堂筋ビル10F
設  立:1944(昭和19)年2月1日
営 業 部:大阪営業部(大阪市中央区)、東京営業部(東京都中央区)
工  場:三宝工場(堺市堺区)、泉工場(大阪府泉大津市)、北九州工場(北九州市八幡西区)
事業内容:フッ素化合物の製造・販売
ブルーエキスプレス株式会社
本  社:大阪府堺市堺区大浜西町10番地
設  立:1991(平成3)年6月20日
事業内容:化学工業薬品(輸出入含む)の卸売業、一般貨物自動車運送事業、国際複合一貫輸送事業、倉庫業、通関業、輸出梱包業ほか

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