中央工業株式会社
中央工業株式会社は、自動車関連を中心とした熱間、温感鍛造の素材メーカーです。
2011年2月に九州での新たな顧客を開拓するため、北九州市に営業所を設置して頂きました。
今回芳川社長と岡田営業本部長に今後の展望や意気込みを伺いました。
中央工業株式会社 代表取締役社長 芳川淳氏、取締役営業本部長 岡田敏明氏
聞き手:北九州市産業経済局誘致課 片山健太郎
※文中の名称は敬称略とさせていただきます。
【高度な技術を持つ鍛造メーカー】
【片山】
北九州市への進出ありがとうございます。
まずは中央工業の会社概要や特徴について、教えてください。
【芳川】
弊社は創業が1938年で、今年で73年になります。製造業で鍛造品を作っております。
お客さんは地元のマツダさんが約半分、それ以外に東海地区に鍛造の自動車部品を納めておりまして、自動車関係が全体の7割くらい。そしてそれ以外に、中央工業の一つの特徴として、ミズノさんのゴルフヘッドを納めておりまして、それが全体の2割くらい。残りが農機具、JRとか、いわゆる産業用機械関係の仕事をしています。
中央工業は、自動車、ゴルフ、産業用機械、JRなど幅広いお客さんとお取引をさせて頂いているというところが一つの特徴だと思います。
また工場は工業団地の一角で防音、防振の設備も完備し繁忙期には夜間操業も充分可能なものとしています。
【片山】
まずは主力の自動車関係なんですが、具体的にはどのような部品を製造されているのでしょうか?
【岡田】
エンジン関係とミッション関係、足回りの鍛造部品を自動車メーカー等へ供給させて頂いております。
【片山】
鍛造技術について、特にPR事項があれば教えてください。
【芳川】
弊社は熱間鍛造をやっておるんですけど、一つの大きな特徴といいますと、社内で金型の設計から、製作まで行っています。鍛造品として完成まで社内で出来ますので、短納期の仕事が出来ますし、社内で改善活動が出来るため、競争力があります。
やはりお客さんからもスリムで、安いものが求められています。
私どもの後工程に機械加工が入りまして、削るという作業が入るのですが、その削る量を少しでも少なくしようというのが、鍛造の狙いなんです。そういうことにも積極的に取り組んでいます。
またゴルフに関して、弊社はミズノさん向けのアイアンを鍛造しています。
世界的に見ても、弊社ともう1社でほぼ全量供給しています。
【ゴルフのアイアンも鍛造でつくります】
【片山】
誘致課のメルマガもビジネスマンの方々が読者として多いので、ゴルフに関するところは、非常に興味がある方が多いと思います。私も製造工程を教えてもらってびっくりしたのですが、丸棒の素材からあの複雑な形状のゴルフヘッドを作るんですね!?
【社長】
それが弊社の特徴で、いわゆる鍛流線というものがあります。
ゴルフヘッドは丸い棒から作るのですが、この中は線が重なったような組織形状をしています。
それを活かすような作り方をしており『グレインフローフォージング』というミズノさんと中央工業の併願の特許なんです。
日本だけでなく、アメリカ、欧州など8カ国で特許が取れており、これも売りの一つとなっています。
【片山】
普通の鋳造アイアンとこの鍛造アイアンだと、打球音が全然違うみたいですね。
【芳川】
上手な方だと良く判るそうなんですが、手応えといいますか、フィーリングが違うみたいです。
このフィーリングは、いわゆる音から来るそうなんですね。
まぁこの微妙なところは、我々も良く判らないところですが(笑)。
【片山】
やっぱりスイングした時のあの打球音が、気持ちいいところですもんね。
ミズノさんも多くの契約プロがおられると思うんですが、自分たちが作ったクラブで、選手がトーナメントを優勝した時などは、会社の皆さんも喜ばれるんじゃないですか。
【芳川】
やはりすごく嬉しいですね。ちょうど今朝入って来た情報なんですが、アメリカで行われた世界マッチプレー選手権で、ルーク・ドナルドという選手が優勝しました。
この選手もミズノのアイアンを使ってくれてるんですよね。みんなで非常に喜んでいます。
アメリカ男子ツアーの開幕戦でもミズノの契約選手であるジョナサン・バードという選手が優勝し、ミズノの選手は早くも2勝目なんですよ。
【片山】
やはりいいものは違うんですね。このメルマガを読んで、おもわずミズノのアイアンを試して見たいと思った読者の方が出てくるんじゃないかと思います。
【岡田】
特に鍛造アイアンというのは、打感と高反発で、持たれた方は非常にいいと言われます。
だからミズノのアイアンを持たれた方は、ずっとミズノのアイアンを使われてます。
それだけ良さがあるってことですね。
やはり通の持つゴルフクラブ、こう言うと素人には難しいんじゃないかと言われますが、全然そんな事は無く、今は昔と比べてもかなり使い易くなっています。
是非欲しい方がいらっしゃいましたら、お安くなるよう交渉しますので(笑)。
【片山】
是非中央工業価格でお願いします(笑)。
【北九州営業所の開設】
【片山】
また自動車の話に戻るのですが、御社の拠点である広島地区以外にも関東、中京等自動車産業の集積地があると思いますが、そんな中で九州への進出を考えられた理由というのは何だったのでしょうか。
【岡田】
一つはちょうど一年くらい前に、誘致課の松原さんが中央工業を訪問されました。
その時は、主力であるマツダさんに注力して、その関連のサプライヤーの方々との取引を広げて行こうという考えでした。しかし松原さんより、北部九州の自動車産業を取り巻く状況、ダイハツ、トヨタ、日産などの九州への生産シフトや地場調達のより一層の向上などについて、お話を頂きました。将来に向けて国内の重要な市場であると感じ、マツダさんもさることながら、九州にも打って出ようじゃないかとなったのが、きっかけでした。
中央工業の中では初めて出先を持った事になり、やはり少しリスクもあるのですが、それだけの需要を見込んで、九州に出そうということになりました。
また九州の中でも北九州市が様々な面で応援してくれますので、進出するなら北九州市に設置しようと言うことで、事務所を開設しました。
【片山】
そうですね。北部九州は昨年の自動車生産台数も過去最高の113万台を越えましたし、各メーカーも、調達機能の強化や工場の分社化など、生産体制の強化を進めています。
そういった中で、今後更に新規参入の機会等も増えてくると考えていますので、私たちも取引拡大等の支援を精一杯お手伝いさせて頂きたいと考えています。
【岡田】
当面は北九州市に出させて頂いた事務所も人員は1名と少し物足りないところもあるかと思いますが、我々も今まで何も取引の無かった所に初めて出す訳ですから、あまり投資も出来ないということもあります。しかしこの1名も地元採用の社員を置いて、販路を開拓して行こうと考えています。
また将来的には、工場設備も北九州市に設備する事も視野に入れながら、営業を進めて行こうと考えていますので、是非今後ともご協力をお願い致します。
【片山】
もちろんです。せっかく来ていただきましたので、誘致課の職員一同精一杯お手伝いさせていただきます。
【北九州市の第一印象は?】
【片山】
さて、話は変わるのですが、お二人は北九州市には以前いらっしゃったことはありましたか?
【芳川】
ええ、確か5、6年前だったと思いますが、住友金属小倉さんが高炉を改修された際に、火を入れる前に見させて頂いたことがありましたし、またそれ以前にも先輩の結婚式が小倉でありましたので、北九州に行かせて頂きました。
その時の感想としては、私は広島に住んでいるのですが、広島と比べましても駅前の開発状況等がかなり進んでいて、素晴らしいですね。
【片山】
ちなみに岡田さんは?
【岡田】
正直私はこの話があるまで北九州市には行った事がなかったんですよ。
しかし事務所の候補探しで、北九州市の様々なところに行かせて頂きましたが、人の暖かみといいますか、やさしさといいますか、そういったものを感じます。
また我々からすると行政の皆さんというのは、少し近寄り難いイメージがあったのですが、この様に皆さん親身になって対応して頂くということで、我々も行政に対する見方が変わりました(笑)。
本当にいいところに出先を出したという事で喜んでおります。
【片山】
最後に今後の展望や意気込みをお願いします。
【芳川】
そうですね。まずは九州で是非仕事を頂いて、北九州の事務所がますます発展し、人が増やせるような状況に早くしたいですね。また将来の夢として、九州での地盤を強化して、工場をつくるくらいまでにしたいですね。
【岡田】
九州では自動車関連のユーザーさんが最優先なんですが、もう一つそれ以外の業種の地場産業につきましても、ユーザーさんを探したいと考えています。
我々がやっている鍛造製品を納められるユーザーさんを九州で見つけ出して、
新規開拓して行きたいと考えています。
この2つで九州での業績を上げて行きたいと考えています。
夢は大きいですが、工場建設が実現するよう精一杯がんばりたいと思います。
中央工業株式会社